『ビタミンF』
「後記」によれば「F」とは Famailyであり、Fatherであり、Friendであり…という。いずれも40歳前後の中年オヤジが主人公の物語。自分はもう通り過ぎてしまったけれども、子供の成長につれて家族との人間関係が微妙に変化していく時期の7つの Fiction(お話)は、とても他人事には思えなかった。
なかでも、昔の恋人からの手紙が17年後に届くという設定の「なぎさホテル」、中学生の娘が噂する同級生の正体に驚かされる「セッちゃん」が秀逸だった。
ところで、「母帰る」で、母はロールキャベツが得意という話が出てくる。確かこれは前に読んだ「みぞれ」でも出てきた。岡山弁(広島弁かも)を喋るというところも共通で、著者自身の母が得意だったのかもしれない。
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