『ホワイトアウト』
四六判上下2段組360頁の長篇だが全く長さを感じさせない。電車の中で読んでいて何度か危うく乗り過ごしそうになった(笑)。いくら登山部とはいえ一介の発電所員にそこまで大立ち回りが演じられるかというツッコミが野暮に感じられるほど、有無を言わさぬ迫力と圧倒的なディテールに感嘆させられた。
犯人グループ内部の人間関係と、彼らの心理が次第に揺れ動く様子も生々しく描かれていて、単なるアクションものに終わらない奥行きがある。テイストは随分違うけれども、同じく発電所を標的にしたテロを題材にした高村薫の長篇『神の火』を連想した。
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