二転三転、関西フィル
今夜は関西フィルハーモーニー管弦楽団第218回定期演奏会。会場のザ・シンフォニーホールは勤務先からすぐ近いというのに近年すっかり足が遠のいていて、転勤以来これが初めてである。コンサート自体も何と07年11月のバイエルン放送響以来というご無沙汰である。
このオーケストラは前身をヴィエール・フィルハーモニックといい、当時はN響のトロンボーン奏者だった宇宿允人の専属オケみたいな楽団だった。高校生のとき、学校の隣にあった國民會舘で行われた演奏会を聴いた記憶がある。
指揮は来年からこのオケの音楽監督に就任するオーギュスタン・デュメイ。曲目はメンデルスゾーン「フィンガルの洞窟」序曲、シューベルトの交響曲第5番、そしてベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(デュメイの弾き振り)。
…のはずだった。
しかし、数日前に楽団のサイトを覗いたら、「指揮者の強い要望により」曲順を変更して、ベートーヴェンを最初に演奏すると告知されていた。序曲が真ん中に来るという奇妙な並びになったわけである。デュメイ氏はよほどのこだわりがあるのだなと思って会場に向かった。いきなりベートーヴェンの協奏曲か。
…のはずだった。
ところが、開演前にステージに現れて挨拶した楽団事務局長氏が、曲順が元に戻ったことを苦しげな言い訳とともに告げた。気まぐれなマエストロに随分と振り回されたのだろう。(苦笑)
定刻から10分ほど遅れてようやく開演。メンデルスゾーンとシューベルトの演奏が無事に終わり15分間の休憩に入った。その間にオケの配置を変え、コントラバスと管楽器の位置を入れ替えた。右端に管楽器群、ステージ奥にコントラバスが横一列に並んだ。これもデュメイ氏のこだわりなのだろう。さて、あとは後半の開演を待つばかり。
…のはずだった。
ところが、再びステージに現れた事務局長氏が、デュメイ氏は急病で医師の判断により演奏不可能となって、現在病院に向かっていると告げた。今夜の演奏会はこれで打ち切り、チケット代は後日全額払い戻すという。
本人急病のため演奏会を直前にキャンセルというのは時々聞くが、演奏会の途中でキャンセルというのは珍しい。自分自身初めての体験だ。私を含めて聴衆はみなデュメイの弾き振りに期待していただけに、一様にがっかりした面持ちで会場を後にしていた。結果的にタダで(笑)聴けた2曲の演奏は悪くなかっただけに、残念な一夜になってしまった。
3月10日 ジョグ10キロ
3月11日 休養/完全休肝
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コメント
デュメイって指揮もするんですか。知らなかったです。
しかし振り回されましたね(^^;。
本当に急病か、怒って帰ったのか..。
半額払い戻しではなくて全額ですか!関西フィルも台所事情、大変なのに。
関西の聴衆は、半額戻しじゃ、納得しないのか(^^;。
途中で指揮者が帰ったエピソードと言えば、アシュケナージ・N響が有名ですね。
前半で地震が起きて、アシュケナージ、動揺して指揮棒を手に刺して出血(^^;。前半プロのみ指揮して帰っちゃいました。後半は指揮者無しでチャイ4を演奏。
コンマスは堀さん。
そちらの方が名演だった!という話も。
指揮棒といえば、最初の指揮者って、指揮棒を足に刺して、それがもとで死んでしまったんですよね。
いろいろ話が飛びました...。
投稿: 高橋 | 2010/03/13 09:10
高橋さん
ようこそ、お待ちしておりました。(笑)
デュメイさん、怒ったわけではないでしょう。
開演が10分遅れたのも体調不良ゆえと思われます。
でも、デカイ人ですね。190cmはあるかな。
ステージに出てくるとき、通路の天井に頭が
当たりそうになってました。(ホント)
当然指揮台は不要です。
指揮者なしでチャイ4をやってのけるあたり
さすがはN響ですね。海外の名門オケだと
収拾がつかなくなりそう・・・。
「指揮棒を足に刺して」はリュリですね。
実際には杖のような指揮棒を足に思い切り当てて
それが原因で壊疽を起こして急死したのだとか。
マラソン同様、音楽家も体力勝負の世界ですね。
投稿: まこてぃん | 2010/03/13 18:44