『夜想』
『慟哭』に続いて新興宗教(そのものではないが)をテーマにした長篇。妻子を交通事故で突然亡くした主人公雪籐が、不思議な能力を持つ少女遙に出会ったところから、この二人を中心とした教団のような組織が自然発生し、拡大し、そしてある事件を契機に大きな転換点を迎えるというストーリー。
最後のところで雪籐は、それまで怪しげな人物だと思っていた笠置の「あなたは救われたのではなく、救われたいと願っていただけ」という言葉を素直に受け入れるに至る。「自分を救うのは自分でしかない」という大変重い命題を残しながらも、小説は明るく終わっている。
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