『さよならの代わりに』
ネタバレになるのであまり書けないが、分類からすれば筒井康隆『時をかける少女』のようなタイムトラベルものと言えるだろう。現在と未来が交錯する複雑な仕掛けはともかく、その舞台回しの上で和希と祐里が出会い、一連の事件に巻き込まれ、そして別れるというオーソドックスなストーリー展開はなかなか読ませる。
タイトルが暗示するとおりの結末はとても切ないが、登場人物たちの造形も巧みで、小劇団の舞台裏も窺えて興味をそそる。『愚行録』『慟哭』とはまったく異なる作風で、作者の芸域の広さに驚かされる。
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