『断絶』
シリーズと言っても、第1作『長き雨の烙印』の刑事伊達明人が脇役で出てくるぐらいで、他の登場人物は全く異なる。しかし、汐灘という架空の地方都市の「閉塞感」は通奏低音のように2作に共通しており、本作もまたとても重い読後感を残した。
代議士剱持の後継者争いと、女性の死亡の真相追及が同時進行していくが、密告電話の主が意外なところにいた以外は、他の堂場作品と同様、事件全体の構図はかなり早い段階から想像がついた。
刑事ものとスポーツものを中心に書いてきた堂場瞬一だが、地方政治のドロドロした部分にも踏み込んだ本作を契機に、松本清張ばりの社会派への脱皮を図ろうとしているのだろうか。
ところで、今月3日に放送された本作のTVドラマは録画に失敗した。早く再放送してくれないものか。
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