『わたしの普段着』
2005年出版ということは、吉村氏の死の前年ということになる。最晩年に書かれたエッセイ集ということで、さすがの氏の文章力にも衰えが見られる。構成面で乱れが見られたり、結末が尻切れトンボだったりする。話題についても、幼少時から戦時中の思い出話を何度も繰り返したりといった有り様で、ファンとしてはいささか心が痛くなる。
肺結核の死の淵から生き返った後は、綿密な取材に基づく独自のスタイルの小説を憑かれたように書き続け、それが体力的に叶わなくなったら、さっさとあの世に旅立ってしまう。何と潔く、雄雄しい生涯だったことだろう。
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