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2009/10/01

『街のはなし』

9784167169343_2吉村昭のエッセイ集は2冊目。アマゾンの紹介文。

「私には、妙な性癖がある。(中略)一度見た人の顔を、月日がたっても不思議に覚えている」―作家の眼差しが、温かく、時に厳しく人々に注がれる。街でよく見かける“ころび癖”のある女性、年々逞しさを増す妻と弱々しくなっていく夫、カメラを異常に意識する女優…。ユーモア溢れる極上エッセイ79篇。 (引用終わり)

9月30日 ジョグ10キロ
月間走行 356キロ
10月1日 ビルドアップ10キロ

「あとがき」によれば、文藝春秋の女性向け月刊誌『クレア』に創刊から6年に亘って連載されたエッセイを集めたものということである。連載時のタイトルは、居酒屋で寛いでいるときにふと思いついた題材をメモしたということから、「箸袋から」と名づけられていたそうだ。こちらの方が遥かに味わいがあると思う。

それはともかく、身辺雑記や旅行、酒と食べ物に関する話もさることながら、女性誌連載ということで女性や結婚について、またご自身の奥さん(作家の津村節子)についての話が興味深い。愛妻家は概して恐妻家であるというが、吉村氏もご多分に漏れずのようで微笑ましくなる。

中でも、あまりに吉村氏が傘を失くすので奥さんに叱られたという話を紹介した「ビニール傘」の次の一節はとても他人事ではなく、心から同情を覚えてしまった。(苦笑)

それでも年に一、二度はなくし、帰途そのことに気づいて、同じ柄のものをデパートでさがす。家内になくしたことを知られないようにするためで、傘売場で物色して歩きまわっている時は、たかが傘のことで家内をこれほど恐れなくてもよいのに、と物悲しい気分になる。

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