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2009/08/27

『縁起のいい客』

9784163592909_2吉村昭のエッセイ集を初めて読んだ。版元紹介文。

待望の最新エッセイ集が初荷で登場です。表題の「縁起のいい客」とは、著者ご本人のこと。店が閑古鳥の日でも吉村さんが来ると、なぜか次々お客がやって来る、そんな「招き猫」のようなありがたい客に店主が奉ったあだ名です。ところが最近、どうも様子が違ってきて──。(「貧乏神」より)  おかしくも味わいある日常を描いた話から作品執筆の裏話、三島由紀夫が見せてくれた顔の話など全五十六篇。一年の読書始めにお薦めしたい一冊です。(AS)(引用終わり)

8月26日 軽いビルドアップ10キロ
8月27日 ジョグ10キロ

吉村昭ファンの走友T氏から、私の文体が吉村昭に似ていると言われたことがある。何となく分からなくもないという感じはあるが、例えば吉村氏が家では夜9時までは飲まないとか、自ら決めたルールを頑なに守ったりするところなど、性格的に似ているのではないかとも思う。

全56篇それぞれに味わい深いが、マラソンについて述べている次の箇所は、ランナーとしては見逃せない。

私がマラソンを好きなのは、レースが人間の生き方とよく似ているからだ。スタートから飛び出す選手は、必ずと言っていいほど疲れて後続の集団に吸収され、はるか後方にさがってゆく。実生活の上でも、初めに飛び出して疲れてしまった人間が何人もいることを、私は知っている。
初めはおくれていても、着実に一定のペースを守って後方から少しずつ追いあげ、やがて先頭集団に加わってくる選手もいる。このような選手は無気味で、私の好みのタイプだ。人間の生涯は長丁場だ、と知っている人のように思える。(191頁)

ランナーとしてはイーブンペースタイプに属するけれども、実人生では前半で飛ばしすぎてもうバテバテ状態の自分としては、ちょっとほろ苦い指摘である。(苦笑)

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