『星への旅』
この作品は『戦艦武蔵』と相前後して発表され、当時からこの作家の「作風の見定めがたさを嘆かせた」と、全集本解説の上田三四二氏が述べている。しかし、戦記ものであれ、現代ものであれ、冷静に事実を積み重ねて語らせる氏の手法は変わらない。
まだどこかに戦後の匂いの残る本作だが、青年たちの不条理のような集団自殺に至る克明なレポルタージュは、自殺サイトを通じて知り合った見知らぬ男女が集団自殺する事件が相次ぐ現代にも十分に通用する価値を有している。
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