『二度目のノーサイド』
堂場瞬一のスポーツもの。今回のテーマはラグビーである。版元の紹介文はやや長い。
いったん廃部となった実業団のラグビー部がもう一度試合をすることになった。しかし5年の間にそれぞれのメンバーを取り巻く環境や心情は変化し、体力は確実に落ちていた。それでも試合をやめるわけにはいかない――。
会社の業績悪化でラグビー部が廃部を余儀なくされ、当時のメンバーはふっきれない思いを抱えながら生きていた。ナンバーエイトだった桐生は、マネージャーの死をきっかけに再結集を呼びかけるが、次の人生と直面するためにラグビーへの未練を押さえ込んでいた選手は、頑なに合流を拒み続けていた。桐生は自らの体力を戻すためのトレーニングに打ち込む一方で仲間達の説得に回るが――丹念な取材と観察眼で技術面やメンタル面の的確な描写が評判の著者が描くスポーツ・スピリット小説。仕事と家族との狭間で苦しみながら、仲間と共に自分の生きざまを見つけようとする姿勢が、長引く不況やリストラに怯えるサラリーマンを元気づける。(引用終わり)
3月 9日 ジョグ10キロ/完全休肝
3月10日 ジョグ10キロ
高校の体育の先生がラガーマンで、公立高校の正課の授業でラグビーをやったという、ちょっと珍しい経験がある。今でこそマラソンにのめりこんでいるものの、学生時代は音楽大好きの軟弱男でスポーツは全くの苦手だった。ましてああいう荒っぽい競技をやらされる日には朝から憂鬱だったものだ。ただ、試合を観る方はなぜか好きで、花園で社会人リーグの試合をナマで観たことがある。
さて、小説の方は月刊誌連載が初出で、そのためか説明にややくどいところがあるし、桐生による「仲間達の説得」が一人また一人という具合にブツ切れになっていて、重層的な人物群像の描写という点ではやや不満が残る。ただ、この作家独特の力強く直線的なストーリー展開は相変わらずで、ラグビーというスポーツとの相性もぴったりである。
昨年までミニ合宿を張った菅平や上田といった地名が出てきて懐かしかった。もとはと言えばラグビーの聖地なのであった。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント