『ミス・ジャッジ』
前に読んだ『焔』の主人公・沢崎はまだメジャー入りを目指している段階だったが、今回の主人公・橘は今季からレッドソックスに移籍、先発投手陣の一員として活躍中である。日本人メジャーリーガーがどんどん増えている現実に合わせて、小説の設定も変えていかないといけないのだ。
ちなみに、代理人・藍川は前作では独立したばかりで、沢崎を足がかりにMLBに参入すべく腐心していたが、本作では既に敏腕代理人として成功しているようで、橘の契約更改に向けて立派にサポートしている。
物語は橘の先輩で今はMLBの審判となった竹本との因縁の対決という図式で展開するが、その「因縁」自体やや陳腐な感じがして小説としては中途半端な出来と言わざるをえない。それよりも、投手と打者の駆け引きやメジャー野球の意外な緻密さ、あるいはレッドソックスのチームカラーといった野球に関するディテールは大いに楽しめた。
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