『チーム』
「駅伝小説」なる分野が存在するのかどうか知らないが、以前読んだ三浦しをん『風が強く吹いている』も同じく箱根駅伝がテーマだった。そこでは、素人を交えた部員わずか10名という弱小大学の奇想天外の奮闘ぶりを描いていた。本作はそれよりは現実の箱根駅伝に近いと言えるが、関東学連選抜チームを題材にしている点が意表を衝かれる。
学連選抜と言えば以前はオープン参加で、「敗者復活」のような陽の当たらない存在だったが、最近では正規の出場チームとして扱われ、今年は堂々4位に入る健闘ぶりを見せた。箱根駅伝の新しい話題にすかさず焦点を当てている辺り、さすがに目の付け所が鋭い。
物語は前年に最終10区で大ブレーキとなり、リベンジに燃える主人公・浦大地と、9区を走る孤高の天才ランナー山城悟を主な対立軸としながら進行し、最後にこの両者が大きなドラマを演じるという仕掛けになっている。ちょっと見え見えの展開とも言えるが、以前から感じているこの著者独特の「ド真ん中、直球」ぶりはここでも発揮されている。
現実の09年箱根駅伝でも学連選抜チームに一層注目が集まるかもしれない。なお、小説では学連チーム以外の大学は、往路優勝の駒澤や、最後に学連と死闘を演じる中央をはじめ全て実名で登場する。最初の方の予選会のところでは、何と青山学院がギリギリで予選を突破し、何十年かぶりの箱根出場をゲットするという記述がある。
現実にそうなった予選会が10月18日で、本書の出版日付は10月25日だから、ニュースを見てから最後に手を入れたのかどうか微妙なところだ。ただ、著者は青山学院出身で、巻末には同大学陸上競技部が取材協力したとある。著者が多少の思い入れを籠めて書いたらその通りになってしまった・・・というのなら面白いのだが。(笑)
ところで『風が・・・』の方は、私もブログで書いていたように、待望されていた映画化が決定し、来年秋に公開される運びらしい。今から楽しみだが、現在各地で行われるロケのエキストラを募集中だそうだ。観客だけでなくランナー役まで含まれているが、まさか50歳のオヤジランナーの出る幕はないだろう。(苦笑)
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