『久遠』
堂場瞬一の刑事・鳴沢了シリーズもいよいよ最終巻となった。これまでの集大成に相応しく、文庫本上下で700頁を超える大作である。カバーの紹介文。
夜明けに鳴ったインターフォンが事件の始まりだった。訪問者は青山署の刑事たち。彼らは開口一番、鳴沢のアリバイを確認してきた。前夜会っていた情報屋が殺され、その容疑をかけられたのだ。美味しいネタとして仄めかされた言葉「ABC」――それが彼の命を奪ったのか? 自らの疑惑を晴らすため立ち上がる鳴沢だが……。(上巻)
情報屋に続き、警視庁公安部の山口が殺された。再び鳴沢に嫌疑がかかる状況で……。身の潔白を証明しようと奔走するも、同僚に警察内部の圧力がかかり、いよいよ孤立無援の状況に。ようやく謎の言葉「ABC」が大規模な国際犯罪に繋がることを?むが、捜査は行き詰まる。ついに敵の銃弾は、鳴沢に向け放たれたのだった!(下巻)(引用終わり)
以下、あまりネタバレはないはず。(笑)
11月5日 ジョグ10キロ
11月6日 ジョグ10キロ
前9作までに登場した主要人物が再登場し、随所でこれまでの物語やエピソードを回想しながら、日米中に跨る国際犯罪に巻き込まれた鳴沢が、警察組織から孤立しながらも悪に立ち向かうというスケールの大きな作品である。
前半はやや風呂敷を広げすぎた感があったが、徐々に明らかになる事件の真相は例によって読者の予想を裏切らず、最後の大団円で一種のカタルシスを感じさせる仕掛けは見事だ。エピローグ的な部分では本シリーズ第1作の『雪虫』の名前が出てきて、思わずニヤッとさせられた。
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