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2008/09/17

ザンデルリンク再評価

秋到来で久々に音楽ネタ。先日のNHK-FM「クラシックカフェ」で、クルト・ザンデルリンク指揮のブラームス交響曲第1番を放送していた。管弦楽シュターツカペレ・ドレスデン、1970年代初頭のオイロディスク原盤である。当時から名盤の誉れ高い交響曲全集なのだが、たまたま1枚だけLPを買った第4番が当時の自分にはやや弛緩した演奏のように感じられて、以後何となく敬遠していた指揮者である。

余談ながら、そのLP購入より以前、このコンビの演奏会を聴きにフェスティバルホールに出かけたことがある。ところが、ホール入り口には「ザンデルリンク氏急病のため、指揮者と曲目が変更になります」と張り紙がしてあった。一緒に行った友人に「来ると残念リンク」とか、当時から下らないオヤジギャクを飛ばしながら(笑)、仕方なく聴いた代替プロが意外に立派な演奏だったのを覚えている。それもそのはず。曲目はベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」他で、指揮は当時まだほとんど無名に近かったヘルベルト・ブロムシュテットだったのだ。

それはともかく、今回聴いたザンデルリンクの第1番はなかなか良かった。悠揚迫らざる風格を備えながら、対旋律を浮かび上がらせて楽曲構造を明快に打ち出した、ドイツ正統派の名演奏である。終楽章コーダでのそれまでの緊張を一気に解き放つような爆発ぶりには胸のすく思いがした。

Hm020面白かったのは終楽章114小節目のヴァイオリンの分散和音の刻みで、通常はフルートのソロで埋没しがちになるところだが、これほどハッキリと聞こえる演奏は初めてで、「本当にそんなことが書いてあるのか」とスコアを見直したほどだ。気になって、うちにある十数種のLP、CDを聞き比べてみたが、小澤=サイトウキネンが若干そういう味を出していたぐらいだった。

ついでながら、件の第4番のLPを引っ張り出して再聴してみたら、これはこれでどっしり構えた味わい深い演奏だった。ある程度年齢を重ねないと分からない味、なのかもしれない。

9月16日 完全休養
9月17日 ジョグ10キロ

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