« 禁断の味 | トップページ | やっと走れた »

2008/06/28

『帰郷』

Kikyou堂場瞬一の刑事・鳴沢了シリーズ第5作。予約してようやく入手した図書館の本は誰かが”水没”させたらしく、ページが波打ったようになっていた。アマゾンの紹介文。

話があるんです―父の葬儀の翌日、一人の若者が訪ねてきた。新潟県警鬼の一課長と呼ばれた父にとって唯一の未解決案件を再捜査しろというのだ。奇しくも時効は葬儀の当日であった。遺品の備忘録に綴られる捜査への飽くなき執念、不審な元同僚、犯人と名指しされた男、そして謎の記号―父が遺した事件を追って雪の新潟を鳴沢、疾る。(引用終わり)

6月27日、28日 完全休養

警視庁の刑事である鳴沢了が新潟県警管轄の殺人事件を、それも時効が成立した後になってから再捜査するという設定には多少無理があるように思えるが、父が唯一解決できなかった事件の真相解明は、了にとっては同じ刑事としての父との対決であり、さらにはやはり同じく刑事であった祖父の死にまつわる問題から生じた、父との微妙な関係の了なりの整理、決着であったとも言える。

この作者らしい「ど真ん中ストレート」の展開で、事件の真相についても途中でほぼ推測がついてしまうが、それでも悲劇的な結末に向けて、ぐいぐいと読者を引張っていく筆力は大変なものだ。

設定の関係から今回は捜査の相方も登場せず、恋人・内藤優美の関与も限定的だが、その中でも新潟県警の後輩大西海がひと回り成長した姿を見せていたり、優美の再渡米の話が持ち上がったりと、大河ドラマ的な味わいを漂わせ始めた。了とともにシリーズ自体も成長しているのである。

次作は待ちきれず、即自腹購入と相成った。(苦笑)

|

« 禁断の味 | トップページ | やっと走れた »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『帰郷』:

« 禁断の味 | トップページ | やっと走れた »