『キング』
堂場瞬一著。刑事鳴沢了シリーズの第4作『孤狼』を借りようとして近くの図書館に行ったが見当たらなかった。(「貸出中」ではないのに開架書庫にないということは・・・)
代わりにこの著者のもうひとつのジャンルであるスポーツ小説を物色。野球ものが何冊かあったが、ランナーとしてはこの1冊を手に取らなければウソだろう。アマゾンの紹介文。
大学陸上部で同級生だった三人が、オリンピック男子マラソン代表・最後の一枠の選考レースに出場する。三十歳の彼らにとって、これは五輪へのラストチャンスだった。日本最高記録を持ちながら、故障に泣かされ続けた天才ランナー須田は、最高の練習環境に身を置き復活を賭ける。陸連批判をしてチームを去り、四年ぶりに走る武藤は「俺が勝つ」と豪語。そして、優勝経験がなく“勝ち方を知らない”青山の前には、ドーピングを勧める謎の男が現れて…。栄光に挑む男たちを巡る葛藤・執念・陰謀を描く、傑作書き下ろしマラソン小説。(引用終わり)
5月15日の練習内容 完全休養(残業)
5月16日の練習内容 ジョグ10キロ
四六判425頁の長篇は、選考レースまでの前段ストーリーを引っ張り過ぎた感があり、逆にレース後の代表選考の行方はあっさりし過ぎて拍子抜けした。しかし、マラソンについて丹念に取材した跡が随所に窺え、クライマックスの選考レースの展開はなかなかにリアルだった。
自分としては青山のコーチ菊田の次のような述懐に、身につまされる思いをした。
「分からないんだけど、ああ、俺はこれ以上は駄目だなって、突然分かったんだ」(中略)「とにかくこれ以上絶対にタイムは伸びないし、これからは走るのが辛くなるだけだっていうのが直感的に分かったんだ。理屈じゃなくて、勘みたいなものだな」(47頁)
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