『主婦の旅ぐらし』
2冊目までと同様の「主婦と○○」というタイトルの軽妙なエッセイを集めた「主婦とだんなの生活」、「気鋭の書き手」を支える幅広い読書のユニークな感想で綴る「本の生活」。各地の競馬場、競輪場への泊りがけバクチ旅行(旅打ちというらしい・笑)の記録「主婦の旅ぐらし」の三部からなる。
「しょぼいホテルにチェックインしてしょぼい定食屋で食事して、商店街の洋菓子屋でオヤツを買い酒屋で飲み物を買い、本屋で本を買い、しょぼいホテルに戻って寝る、やることといえば判で押したようにコレしかないのだが、この楽しさはたとえようもない」という旅行記は秀逸だった。
文庫解説の鹿島茂氏は「青木るえかはシュルレアリストである」というが、私に言わせれば彼女は地方都市の廃れかけた風景の中に限りない興趣を見出すことのできる、我が国伝統の「わび」「さび」に通じる鋭い感受性の持ち主であると思う。
図書館にはこの3冊しかなく、朝日新聞夕刊の連載コラムも今週分で終了した。残念である。
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