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2008/02/12

『リセット』

137328北村薫「時と人」シリーズの第三作。版元紹介。

「――また、会えたね」。昭和二十年五月、神戸。疎開を前に夢中で訪ねたわたしを、あの人は黄金色の入り日のなかで、穏やかに見つめてこういいました。六年半前、あの人が選んだ言葉で通った心。以来、遠く近く求めあってきた魂。だけど、その翌日こそ二人の苛酷な運命の始まりの日だった→←流れる二つの《時》は巡り合い、もつれ合って、個の哀しみを超え、生命と生命を繋ぎ、奇跡を、呼ぶ。(引用終わり)

2月11日の練習内容 ジョグ10キロ
2月12日の練習内容 完全休養

巻末の宮部みゆきとの対談で作者は、このシリーズは3作とも「時とどう向かい合うか」という話であるが、『スキップ』『ターン』が単数の問題だったのに対し、『リセット』では複数の問題になっている、と述べている。

一つの時間軸の途中が欠落したのが『スキップ』で、一部が輪になってしまったのが『ターン』であるとすれば、『リセット』は巡り合った二つの魂が現実の時間を超えて交錯しあう物語である。

簡単に言えば「輪廻転生」がテーマということになるが、本作は宗教論でも運命論でもなく、祈りと愛が時を超えて通じ合う極めてヒューマンな物語である。

ただ、小説としては前半のストーリーがやや冗長で(特に戦時中の女学校の描写)、その割には最後の驚くべき邂逅に至るまでの必然性とは言わないまでも、伏線というか仕掛けが欲しかったような気がする。

私としては、やはり第1作『スキップ』が一番印象が強かった。

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