『ターン』
以前、これとよく似た設定の映画を観た。本作同様、主人公は同じ一日を繰り返し生きなければならない不条理の世界に陥るが、やがて自ら立ち直るきっかけを掴み、元の生活に復帰していくというストーリーだった。
ごく大雑把に言えばそうだけれども、コメディタッチのこの映画と本作とでは味わいは全く異なる。前作『スキップ』をさらに上回る非現実的、否、超現実的な設定にもかかわらず、他に誰一人いない不条理の世界を健気に、そして懸命に生き抜き、ついには「元の世界」に帰っていく主人公に、すっかり感情移入させられてしまった。
うんざりするような繰り返しの毎日を過ごしているのは、何もこの物語の主人公ばかりではない。しかし、物語の終盤で主人公が吐く次のようなセリフには、思わずはっとさせられることだろう。
この地球さえ、いつかは形を失う。永遠であるというなら、一瞬さえ永遠だ。こんな当たり前のことを、わたしはどうして忘れていたのか。顔青ざめて、毎日が不毛な繰り返しだといっていたわたし。不毛なのは《毎日》ではなく《わたし》だった。そういう人間が、どうして生きている世界に戻れよう。(404頁)
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