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2008/02/01

『ターン』

Turn『スキップ』に続く、北村薫「時と人の3部作」の第2作。版元紹介。

真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。ターン。いつかは帰れるの? それともこのまま……だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。(引用終わり)

以下、少々ネタバレ。

1月31日の練習内容 完全休養
2月 1日の練習内容 完全休養

以前、これとよく似た設定の映画を観た。本作同様、主人公は同じ一日を繰り返し生きなければならない不条理の世界に陥るが、やがて自ら立ち直るきっかけを掴み、元の生活に復帰していくというストーリーだった。

ごく大雑把に言えばそうだけれども、コメディタッチのこの映画と本作とでは味わいは全く異なる。前作『スキップ』をさらに上回る非現実的、否、超現実的な設定にもかかわらず、他に誰一人いない不条理の世界を健気に、そして懸命に生き抜き、ついには「元の世界」に帰っていく主人公に、すっかり感情移入させられてしまった。

うんざりするような繰り返しの毎日を過ごしているのは、何もこの物語の主人公ばかりではない。しかし、物語の終盤で主人公が吐く次のようなセリフには、思わずはっとさせられることだろう。

この地球さえ、いつかは形を失う。永遠であるというなら、一瞬さえ永遠だ。こんな当たり前のことを、わたしはどうして忘れていたのか。顔青ざめて、毎日が不毛な繰り返しだといっていたわたし。不毛なのは《毎日》ではなく《わたし》だった。そういう人間が、どうして生きている世界に戻れよう。(404頁)

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