『覆面作家は二人いる』
「覆面作家のクリスマス」「眠る覆面作家」「覆面作家は二人いる」の3篇を収める。女子大生「私」と噺家・円紫さんのシリーズでは時に作者の文学趣味が高じて、門外漢にはついていけなくなることもあったが、本作はユーモアに溢れた軽妙なタッチのストーリーで、文句なしに楽しめた。
それでいながら、作者お得意の「日常の謎」を見事に解いてみせる推理には、人間に対する深い洞察が潜んでいて、しんみりとさせられる。このシリーズで探偵役を務める「お嬢様作家」の千秋がまたとても魅力的なキャラクターで、お屋敷から一歩外に出ると「借りて来たネコさんからサーベルタイガーに変身してしまう」という設定が卓抜である。
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