『ソー・ザップ』
稲見一良の第2作。これも絶版になっていた文庫本を大阪の図書館で見つけたもの。カバー紹介文。
人を撃てる、こんな機会を誰が断わるか―。「パブ・パピヨン」の広い店内で、自分の命に三千万円もの賞金をかけたレッドムーン・シバと名乗る謎の男。挑戦をうけたのは、素手の格闘では無敵の元レスラーのベアキル、手裏剣と小太刀の名人ハヤ、大型獣のハンターのブル、元警察官の金久木。そして、五人の男は、舞台として指定されたK山脈系の山野に分け入り、最も危険なゲーム“マンハント”がはじまった。男の散りぎわのダンディズム、武器への思い…。男の中の眠るものがうっすらと目をあける。(引用終わり)
12月6日の練習内容 完全休養
12月7日の練習内容 完全休養
幕開けの男くさい「パブ・パピヨン」の場面から、哀愁漂う見事なエンディングまで、まさに稲見ワールド全開である。「マンハント」という絵空事のような舞台で、男の本当の強さ、サバイバル能力、さらには優しさや器量までが試されることになる。
著者お得意の狩猟や武器、道具類、さらに獲物の解体、調理方法まで、該博な知識がふんだんに披露されている。面白かったのは、岩塩や胡椒を携行するのにフィルム・ケースを利用するというくだりだった。安価で容易に入手でき、軽く丈夫で、濡らしたくないものを容れる小物容器としてほぼ理想的、とある。
これには大きく頷いた。そう。ランニングの際の熱中症、痙攣対策の塩カプセル入れとして、私自身もフィルム・ケースを愛用しているからだ。代わりになるものが百円ショップで簡単に見つかりそうに思えるのに、いまだに発見していない。デジタルカメラ全盛で、フィルム・ケースそのものが入手困難になるとは、94年に亡くなった稲見さんは予想だにしなかったに違いない。
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