『メディア・スターは最後に笑う』
著者の水原秀策は1966年生まれ。衆議院議員秘書の出身という変り種の作家で、『サウスポー・キラー』で第3回「このミス」大賞を受賞した。アマゾンの紹介文。
マスコミがおれを殺すのか、おれがマスコミを倒すのか?
瀬川恭介は史上最年少でショパンコンクール優勝を果たした天才的なピアニスト。ある日恭介は罠にハメられ、殺人事件の第一容疑者となってしまう。伝説のピアニストによる殺人事件、しかも被害者は国民的人気の美少女ピアニストという、センセーショナルな話題は、マスコミの恰好のエサとなる。記者たちが、インパクト優先の記事作りに夢中になるなか、元女子アナウンサーの相沢奈緒は、真実を求めて奔走するが……。 (引用終わり)
12月22日の練習内容 完全休養(雨のため)
12月23日の練習内容 LSD20キロ
紹介文のとおり、冤罪事件に巻き込まれた恭介の孤独な戦いと、マスコミ界の異端者となりながら事件の真相に迫ろうとする奈緒の奮闘を軸に物語が進行する。殺人事件の真相そのものはメインテーマではないのかもしれないが、最後まで二転三転した割にはリアリティが希薄で、「ミステリー」としては弱い感じがした。
ところで、物語の大詰めのところで、恭介はある人物の凶行を思い止まらせるために、なぜか急にピアノを弾いて説得しようとする。状況設定としては突飛だけれども、そこで弾かれたショパンのスケルツォ第1番ロ短調の描写が非常に秀逸だった。
巻末の参考文献リストに音楽関係書がずらりと列挙されていて、相当に勉強されたのだろうと思う。「このミス」受賞作の『サウスポー・キラー』はプロ野球を題材にした物語のようで、こちらも面白そうだ。次回作品は是非マラソンか駅伝でお願いしたいものだ。(笑)
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