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2007/12/29

『朝霧』

41rhsnr30ql北村薫の第五作。「山眠る」「走り来るもの」「朝霧」の3篇を収める。かなり手前味噌の版元紹介。(笑)

前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げ、ついに学窓を巣立つ時がやってきた。出版社の編集者として歩み出した《私》が巡り逢う不思議の数々。謎解きの師でもある噺家、春桜亭円紫師匠に導かれて迎える幕切れの鮮やかさ、切なさが胸に迫る。寥亮たる余韻は次作への橋を懸けずにはいない。“物語”の伏線に堪能する、《円紫さんと私》シリーズ第五作。

12月28日の練習内容 ジョグ10キロ
12月29日の練習内容 ジョグ10キロ

『六の宮・・・』のあまりにディープな文学論議に辟易していたところに、本作の「山眠る」でも俳句についての薀蓄が述べられていて、最初は「またか」と思った。しかし、我慢して読み進むうちに、さりげなく書かれていた「日常の謎」が次第にクローズアップされ、それが俳句に絡んでいることが分かってきて、最後にはなるほどと納得した。

女性の切ない恋心を題材にした「走り来るもの」「朝霧」もなかなか秀逸で、本作で主人公の姉や会社の先輩女子社員が結婚することも“伏線”となって、社会人として歩み始めた主人公がやがて経験するだろう恋愛や結婚に関する次の物語を予感させる。上記版元紹介にあるように、いずれ続篇が出ることになっているのかもしれない。その際には是非とも文学論議は程々にしてもらいたいものだ。(苦笑)

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