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2007/09/14

『泳いで帰れ』

97470奥田英朗著。肩の凝らない旅行記で気楽に読めた。版元紹介。

爆笑しながら癒されると評判の直木賞作家の最新作は、やはり註釈部分までも爆笑、の旅日記。野球に柔道、マラソン・・・果ては地中海クルーズまで。前作『野球の国』で、野球に対する深くて斜めな愛情を知らしめた作者が、直木賞の授賞式をぶっちぎってアテネ五輪を現地取材。自分の目で見、肌で感じたオリンピック観戦記は、まさに抱腹絶倒! 小説読み、スポーツファン、どちらも必読。(引用終わり)

9月13日の練習内容 ビルドアップ12キロ
9月14日の練習内容 ジョグ10キロ

紹介にあるとおり、作者が何と直木賞の授賞式をパスして駆けつけたアテネ五輪の観戦記である。版元の厚意でエールフランスのビジネスクラスで成田を発つところから始まり、アテネの異常な暑さに閉口しながらも各種競技を気ままに見てまわり、合間にはエーゲ海クルーズも楽しんだという文字通りの「物見遊山」が羨ましい。

以前に読んだ『延長戦に入りました』でも明らかになった作者のスポーツ全般に対する関心、とりわけスポーツの周辺部に対する関心の深さはここでも遺憾なく発揮されている。応援ぶりに現れるそれぞれの国民の「お国ぶり」についての観察は、時に鋭い批判をはらむこともあるが、根底にはこの作者らしい人間に対する温かい眼が注がれている。

ところで、本書のタイトルはバントを多用した「長嶋ジャパン」野球チームの作戦に対する批判を籠めたものである。日本のマスコミのフィルターを通してしか五輪を知ることができなかった人間にとっては思いもつかない感想である。結局、スポーツも自分の眼で現場を見るしかないのだと思い知った。

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