『深追い』
引き続き、横山秀夫。お得意の短篇集だが、文芸雑誌の連載を集めたものではなく、書き下ろしの単行本として刊行された。版元の実業之日本社はビジネスもの専門かと思っていたら、文芸ものも出していたのだ。版元紹介も要領を得ている。
交通死亡事故の実況検分中に、被害者のポケットベルを拾った交通課警察官。死んだ男の妻は、昔の恋人だった。彼女は夫の死後も連日のように、ポケベルに晩の献立を送ってくる。「コンヤハ カレー デス」――。ポケベルを返すに返せなくなった「制服警察官」が最後に気づく、真実とは? 地方都市の警察署を舞台に、組織に生きる人間の葛藤を描いた、比類なき警察小説。(引用終わり)
7月14日の練習内容 ペース走(キロ4分30秒)20キロを含む22キロ
7月15日の練習内容 LSD40キロ
1つ前に読んだ長篇の『震度0』はやや消化不良の読後感を残したが、こうした短篇集はさすがに著者の本領発揮というべきで、1篇読むたびに思わず唸ってしまった。主人公が全て異なる7篇がそれぞれ独特の味わいを持ちながら、全体として眺めてみると、地方警察署の良く言えば家族的、悪く言えば封建的な「空気感」のようなものを巧みに描き出している。
標題作以外では、小学生の時に海でおぼれかけていたところを救助してくれた大学生が水死してしまったという経験を持つ鑑識係員が、写真に関するふとした発見から大学生の水死の真相に辿り着くという「又聞き」が秀逸だった。
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