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2007/06/15

『影踏み』

063238引き続き横山秀夫。今回も月刊小説雑誌に連載された連作ものである。版元紹介。

窃盗罪での服役を終え出所した真壁修一(34)が真っ先に足を向けたのは警察署だった。二年前、自らが捕まった事件の謎を解くために。あの日忍び込んだ家の女は夫を焼き殺そうとしていた――。生きている人間を焼き殺す。それは真壁の中で双子の弟・啓二の命を奪った事件と重なった。十五年前、空き巣を重ねた啓二を道連れに母が自宅に火を放った。法曹界を目指していた真壁の人生は・・・・・・。(引用終わり)

以下、少々ネタバレ。

6月14日の練習内容 軽いビルドアップ15キロ
6月15日の練習内容 ジョグ10キロ

紹介文にあるように、「ノビ師」と呼ばれる忍び込み専門の窃盗犯真壁修一が出所するところから物語は始まる。普通に考えればシャバに出た主人公がまた悪事を働き、それを警察が追い詰めるという話ではないかと予想したが、ものの見事に裏切られた。

確かに出所した真壁はまたぞろいくつかの「仕事」をこなすのだが、それぞれに彼なりの「理由」があってのことなのだ。それよりは、本書に出てくるシャバの人間の方がよほど悪人に思えてくる。窃盗犯やヤクザは当然(?)としても、堅気の人間でありながら職務上の地位を悪用したり、人の弱みにつけこんだりして金儲けを企むような輩が、次から次へと出てくるのである。

読み進むうち、これら悪人たちに体を張って立ち向かいながら、一方では昔からの恋人への思いを断ち切れないでいる真壁の方が、よほど真人間ではないのかとさえ思えてくる。殺伐とした印象の連作前半から一転して、後半ではひょんなことからサンタクロース役を引き受けることになる「使徒」や、空き巣狙いの死を知らせるべくその父親を探し回る「遺言」など、心温まるような話にすらなっている。

焼死した双子の弟啓二の声が真壁には聞こえるという設定が真壁の内面の葛藤を明らかにし、また7篇それぞれにあっと驚くような結末が用意されている。さすが人気作家だけに上手いものだと感心させられた。

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