『真相』
紹介文がよく出来ているので、さして補足することはないが、上記2篇に続く「不眠」は、会社をリストラされながらも、息子の将来を案じて止まない父親の悲哀が痛切に胸に迫る。また、最後の「他人の家」は、『動機』所収の「逆転の夏」同様、過去を隠して生きる前科者の辿った数奇な運命の物語だが、一見非現実的でありながら、妙にリアリティがあって引き込まれた。
犯罪、事件など警察絡みのテーマを得意としてきた作者だが、ここでは松本清張のような人間観察の鋭さ、厳しさといった新たな境地を切り開いているように感じた。
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