『マラソンの真髄』
私のような減量目的で走り始めた市民ランナーとは、当然レベルというより次元が異なっていて、直接参考にできそうな部分は期待したほど多くなかった。例えば「期分け」と言っても、トラック競技出身の瀬古氏の場合、その前半はタイムトライアルを行ってスピードを取り戻すことでレベルを引き上げておくことを意味するのだ。
当然ながら、本命レース前の練習は凄まじい。その内容はこれまで「企業秘密」とされていたのだが、巻末に毎日の練習メニューが紹介されている。本人がベストレースと振り返る昭和58年2月の東京国際に向けた練習の過程では、月間1000キロ前後を走っている。驚くのは量だけではない。その内容がまたハードの一語に尽きるのだ。
一例を挙げれば、12月16日に20キロタイムトライアルで全力を使い果たしてから、なお16キロのビルドアップ。翌17日は5.3キロのインターバル4本と1.3キロの全力走で「二日押し」。さらに18日はジョグペース(といってもキロ4分!)で40キロ走。「ポイント練習」は、ただTT1回というのではなく、それに付随する練習も含めた「セット練習」となっているのだ。
到底マネなど出来ないけれども、週末の練習でペース走の翌日にLSD、あるいはその逆という「二日押し」は、試してみる価値はありそうだ。
ところで、最後の第五章にこんなことが書いてある。
瀬古氏はなぜこれほどの練習ができたのかと自問する。結局、「走ることが一番、好きなことだったからだ」。そして、「そこには理由はない。嫌いなものには理由があると思うけれど、好きなものには理由なんてないのだ」と。
これには唸ってしまった。←のプロフィールに好きなもの嫌いなものを列挙してあるが、確かにそのとおり。嫌いなものには全て具体的な理由があるが、好きなものには理由なんてないのだ。
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