『男は旗』
「遊ぶという字は、旗が風に吹かれてはためく様子だという」
「子供は風の子というが、わたしは男はみんな風の子だと思う。旗のように風の中で遊んでいると機嫌がいい・・・」(53頁)
版元紹介。
かつて“七つの海の白い女王”と謳われたシリウス号。客船としての使命を終え、今は船上ホテルとして第二の人生を送っていた。ところが経営難から悪徳企業に買収される羽目に。しかしひと癖もふた癖もあるクルーたちが納得するはずはない。やがて謎の古地図に示された黄金のありかを捜し求めて、ふたたび大海原へと出航! 爽快かつファンタジックな冒険譚。(引用終わり)
以下、少々ネタバレ。
4月26日の練習内容 軽いビルドアップ10キロ
4月27日の練習内容 ジョグ10キロ
内容はまさに書名、紹介文のとおりである。文庫解説の長谷部史親氏も、シリウス号のモデルになった実在のスカンジナビア号(2006年沈没)について触れつつ、「予備知識なしに読んで虚心坦懐に楽しんでいただくのが一番であり、あれこれと贅言を費やす必要はあるまい」と述べている。
ずっしりと重い『樅ノ木は残った』の後で読んだだけに、まさに一服の清涼剤となった。珍鳥が止まった木全体に網をかけて捕獲するシーンなど、あまりに現実離れしたところもあるけれど、個性的で魅力的な各登場人物たちの大活躍に、細かいことは笑って許せてしまうのである。
笑いといえば、片言しか日本語を喋れないカナダ人シェフ、トレーシィが随所で繰り出すヘンテコな諺が奮っている。その珍語録からいくつか。
「ホトケノカオモサンドイッチ」
「ナセバナル、ニラレバナラヅケナニゴトモ」
「サンニンヨレバモンジャヤキ」
「ノーアルタカハシリカクス」
「シラヌガホットケ」
さて、物語のクライマックスでキャプテン安楽が黄金のありかを発見することになるが、それは差し込む光線が屈折して手がかりとなる場所を示したからというアイディアは、ひょっとして『インディ・ジョーンズ』から得たのかもしれない。
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