『脱出』
稲見一良の『セント・メリーのリボン』に引用されていた、ハンフリー・ボガートとローレン・バコールが初めて共演した1944年の映画。アマゾンに出ていたDVDの紹介文。
フランスがナチス・ドイツに降伏した1940年。ナチス支配下となったフランス領マルチニックで、釣り用大型ボートの貸し出し業を営むハリーは、ドゴール派の活動を支えるホテルの主人からレジスタンス運動への協力を頼まれる。初めは渋っていたハリーも、ナチスの横暴なふるまいを見かね、ついに立ち上がるが……。
文豪ヘミングウェイのベストセラー小説をノーベル賞作家のウィリアム・フォークナーが脚色。名匠ハワード・ホークス監督、ハンフリー・ボガートと後に私生活でもパートナーとなるローレン・バコールが初共演を果たしたアクション巨編。(引用終わり)
3月10日の練習内容 LSD20キロ
3月11日の練習内容 ジョグ10キロ
明らかに『カサブランカ』を意識した作品と言われ、ボガート演じる主人公が、反ナチスのレジスタンス運動に命をかける活動家夫妻に感化され、彼らのためにひと肌脱ぐことになるという構図は全く同じである。制作された当時の時代状況を色濃く反映している。
ただ、ヒロインの役どころが異なっていて、『カサブランカ』のイングリッド・バーグマンは活動家の妻で主人公の昔の恋人という設定だったのが、本作のローレン・バコールはアメリカから旅行で来た謎の美人という設定である。もともとはチョイ役でしかなかったらしいが、彼女の大変な魅力でどんどん存在感が増していき、活動家の妻はおろか、主演のボガートすら食ってしまっているように感じられた。彼女の仕草を見てボガートが浮かべる微笑は、「君には負けたよ」とでも言っているような気がしてならない。
バーグマンは確かに美しい。しかし、どちらかと言えば男に寄り添い、男に愛されることに幸福を感じるというタイプの女性だ。これに対してバコールはきりっとした美しさも持つが、それよりも確固とした自己を持ち、男と対等に渡り合うことができる勁(つよ)い女性だ。警官に頬を打たれようと、目の前で人が撃たれようと、顔色ひとつ変えることがない。
それでいて、巧みに人真似をしてみたり、最後の「脱出」の際も音楽に合わせて腰を振りながらホテルから出て行くなど剽軽な一面も持っている。ボガートがすっかり惚れ込んで、その後数々の作品で共演したのみならず、私生活でも結婚したというのも、自然な成り行きだったのだろう。
さて、英語の学習という面では、今回もボガートの早口炸裂で、相当な難物だった。(苦笑)
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コメント
で、「用があれば、口笛を吹くのよ」は、英語でなんて言ってました?
「犬がでてくる」と答えていましたか?
投稿: 稲見一良ファンより | 2007/03/13 11:03
稲見一良ファンさん
お誕生日、おめでとうございます。(笑)
該当の箇所は
Maybe just whistle.
です。映画ではこの後、バコールが続けて
You just put your lips together and blow.
と、口笛の吹き方を教えて出て行き、
ボガートはそのとおり口笛を吹いてみます。
「犬が」云々はセント・メリーだけの話でしたね。
投稿: まこてぃん | 2007/03/13 17:28