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2007/02/23

『猟犬探偵』

Joe稲見一良著。『セント・メリーのリボン』の最後に収められた猟犬探偵・竜門卓を主人公とする同名の短篇がシリーズ化されたものである。光文社文庫の解説。

〈竜門猟犬探偵舎〉に奇妙な依頼が舞いこんだ。動物プロダクションから傷ついた一頭のトナカイとともに一人の少年が失踪、その行方を追ってほしいというものだった。竜門卓は相棒の猟犬ジョーを連れ、その臭跡を辿りながら有馬の山中へと分け入るが……。(「トカチン、カラチン」)
心優しきアウトローたち。自らの信念に従い行動する男の美学。感動の連作短編集!(引用終わり)

2月22日の練習内容 ジョグ10キロ
2月23日の練習内容 完全休養

「トカチン、カラチン」以外に、流しの艶歌師に拾われた猟犬を追う「ギターと猟犬」、役目を終えた競走馬とシェパードを連れて逃亡した厩務員を追う「サイド・キック」、依頼人のストリート・ファイターの男とともに猟犬窃盗グループを一網打尽にする「悪役と鳩」の3篇を収める。

いずれも、「心優しき」男たちと竜門との交流を軸に描かれた心温まるヒューマンな物語である。「ギターと猟犬」など、ほとんど浪花節に近いという気がするが(笑)、そういうハートをうちに秘めながらも、表面はあくまでクールな表情を崩さないのが、ハードボイルドたる所以だろう。「優しくなれなければ生きている資格がない」というわけである。

それにしても、この素晴らしい物語の続きがもう読めないというのは残念でならない。普段の倍ぐらいの時間をかけて、一篇一篇じっくり味わいながら読んだ。

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