『グレの歌』
磯釣りの話ではない(笑)。久々の音楽ネタである。先だっての3連休で時間が取れたので、買ったままシールも破っていなかったCD(まだ数枚ある)をようやく聴けた。最近は音楽は走りながら携帯プレーヤーで聴くのがほとんどで、ちゃんとステレオの前に座って「鑑賞」するのは久しぶりだ。
アーノルド・シェーンベルクが12音技法に移行しようとしていた1911年に完成した大作で、大編成のオーケストラに5人の独唱者、3つの合唱が加わり、演奏時間は2時間近くを要する。その昔、都響か東フィルの定期で一度聴いたことがあるが、東京文化会館のステージが溢れんばかりの楽員と合唱団員で埋め尽くされていたことを記憶している(その時初めて聴いた曲の記憶はほとんどない・笑)。
今回聴いたCDは2001年9月にサイモン・ラトルがベルリン・フィルを指揮したライブ録音である。独唱陣もカリタ・マッティラ(トーヴェ)、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(森鳩)、トーマス・モーザー(ヴァルデマル王)など豪華である。当時まだ売り出し中だったトーマス・クヴァストホフが農夫・語り手役で気を吐いている。
さて、これだけの大作ともなると、さぞや複雑長大な物語を題材にしているのだろうと思いきや、実際にはストーリーは至って単純である。舞台はコペンハーゲン北方のグレ城。ヴァルデマル王は庶民の娘トーヴェと恋に落ち、逢引きを重ねるが、それが王妃の怒りに触れ、王妃はトーヴェを暗殺する。絶望したヴァルデマル王は狂乱に陥り、神を呪う。自らも死者となったヴァルデマル王は亡者として夜の森を駆け回るが、苦悶に満ちた世界はやがて自然の力によって浄化されるというもので、単純と言えば単純だが、後半はちょっとワケが分からないとも言える(苦笑)。
また、大編成のオケと合唱による壮大な音の饗宴を予想すると、ちょっと肩透かしを食らう。曲は構造的にはソリストの叙情的なモノローグと、オーケストラによる序奏、間奏から成り立っていて、大音響で聴衆を圧倒するというよりは、精緻で多彩な音響による織物を思わせる。ソロやソリの部分もかなりあって、150人ものオケを並べておいて僅か数人しか演奏しないのはもったいないが(笑)、そこはさすがにベルリン・フィルの名手たちであり、優秀な録音とも相俟って聴き応え十分の演奏を展開している。ブックレットのインタビューで、ラトルがこの曲を「世界で最も大きい弦楽四重奏曲」と語っているのは、蓋し至言であろう。
さて、今度はマーラーの「一千人の交響曲」と聴き比べてみようか。
2月14日の練習内容 完全休養
2月15日の練習内容 ジョグ10キロ
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コメント
秋山・東響では?皇太子殿下(当時は浩宮様)も臨席された公演。
私は3F席で聴いてました(^^;。
「グレの歌」はなかなか演奏されませんからね(小澤・サイトウキネンもこの前やってましたが)。
>>ラトルがこの曲を「世界で最も大きい弦楽四重奏曲」と語っている
なるほど!さすが、ラトルですね(^^)。
カラヤンも定期演奏会で同曲を取り上げているのですが、録音はしませんでしたね。私は、カラヤンの「シェーンベルク・ウェーベルン・ベルク」の管弦楽作品集(グラモフォン)は大変気に入っているだけに残念。
それから「別府」快走、本当におめでとうございます!
くりりんと共に、超絶な走りで驚嘆の一言です。
また夏にお会いしたら、そのへんのお話を、例の飲み屋で(^^)
投稿: 高橋 | 2007/02/17 23:04
高橋さん
ひさびさの登場、ありがとうございます。
ああ、そう言えば東響だったかな。^^;
カラヤンは「浄夜」と「管弦楽のための変奏曲」
が入ったCDが手元にありますが、これまた
まだちゃんと聴いていません。楽しみ♪
今春はどうも東京出張はなさそうな雲行きです。
夏の大阪は是非、よろしくお願いします。
投稿: まこてぃん | 2007/02/18 10:31