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2007/01/15

『四十八歳の抵抗』

石川達三著。昭和30年から31年にかけて讀賣新聞に連載。昭和31年新潮社刊。

昨年11月に48歳の誕生日を迎えて、話のタネに(笑)一度読んでおきたいと思っていたのだが、文庫も絶版のため入手できなかった。しかし、近所の図書館で再度検索していたら、新潮社『日本文学全集』に収録されているのを発見し、ようやく読めた。以下は、昭和31年に映画化されたもののあらすじ(「goo 映画」のサイトによる)。

あと二年で、いわゆる初老の五十歳を迎える西村耕太郎は昭和火災保険の次長。妻さと子と結婚適齢期の一人娘理枝の三人暮しは至極単調で毎日が退屈で仕方がない。彼は、忠実な部下と称する曽我法介の誘いで、ふと過ぎにし青春の夢を追い、冒険を試みたくなる。夜の熱海、銀座のキャバレー・モスコーと、法介の暗示にかかったように遍歴を始めた耕太郎は、バー・マルテで瑞々しい少女ユカを知り、このロマンティックな少女に情熱を燃やす。そんな時、理枝が突然の家出。(以下、省略)

1月14日の練習内容 ペース走30キロ(2時間04分10秒)を含む36キロ
1月15日の練習内容 ジョグ10キロ

「バー・マルテ」は、原作では「マルテの家」とあり、そこから察せられるように、ユカはマルガレーテであり、耕太郎はファウスト博士、法介はメフィストフェレスというわけで、要するにゲーテの『ファウスト』を下敷きにして、老境に近づいた人間の最後の願望と冒険、そして挫折を描いた小説である。

それ以上、特にコメントすることはない。正直、期待外れだった。小説のキモであるファウストとの関連自体、最近の小説であれば巧みな暗喩で隠されるであろうが、ここでは思い切り開けっぴろげに、くどいくらいに説明されている。発表された媒体が媒体だけに、分かりやすさが第一に優先されたのだろう。

それにしても、昭和は遠くなりにけりだ。主人公が勤める丸の内近辺と思しき会社では、夕方になると煙草の煙で執務室が白く霞むというし、周囲のビルには労働争議の赤旗が林立し、土曜は半ドンである。日曜日は慰安旅行や麻雀大会(!)のため、熱海まで電車で繰り出すが、車中では女子社員がコーラスを始めるわ、男たちは一升瓶の口を開けるわの大騒ぎとなる。本書が絶版になるのも、むべなるかなである。

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