『下流喰い』
何ともすごいタイトルの本だが、まさに「名は体を表す」で、そのままの内容である。著者は金融ジャーナリストの須田慎一郎氏。まずは版元紹介。
格差社会の暗部で、弱者が借金漬けにされている。デフレ経済下、大手消費者金融会社は低所得者層を貪り、肥大化してきた。いま、その甘い蜜を求めて大手銀行と外資企業が争奪戦を演じている。その一方で、多重債務に陥った利用者は、ヤミ金に全てを奪われた挙句、深い闇に沈められる…。貸し手と借り手の双方に生じている変化を分析し、金融業界と日本社会の地殻変動を克明に描いた渾身のノンフィクション。(引用終わり)
11月2日の練習内容 完全休養
11月3日の練習内容 LSD20キロ
著者の言う「悪魔のビジネスモデル」とはこうである。仮に200万円を借り入れたとして、月々4万5千円ずつ返済することを決心したとする。まず、利息制限法の上限18%の金利だと73回(約6年)で完済する。しかし、いわゆる「グレーゾーン金利」の27%だと、4万5千円は利息だけの支払いにしかならず、定年まで数千万円を支払ったとしても、なお27%の支払いから逃れることはできない。
「6年で完済」と「永遠に完済できず」の違いは、年利でたかだか9%の差から生じるものだが、これこそが「グレーゾーン金利」の悪魔的なトリックなのである。金利分の返済も滞りそうになると「追い貸し」をして借金漬けにし、その挙句は他社からの借り入れを返済に充てるようになって、「多重債務者」への道をまっしぐらに歩むことになるのだ。その末路は言わずと知れている。
ようやく今国会で貸金業規制法等が改正され、「グレーゾーン金利」は3年後に廃止されることとなった。当初、その影響で中小金融業者がヤミ金化する恐れが指摘されていたが、実際には大手消費者金融こそが「グレーゾーン金利」の恩恵を受けていたという記事を読んで、開いた口が塞がらなくなった。
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