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2006/11/07

『延長戦に入りました』

Encho_1 奥田英朗の5冊目はスポーツもののエッセイ集である。近所の図書館ではエッセイは小説とは別の場所に置いていて、なかなか見つからなかった(笑)。アマゾンの内容紹介から。

ボブスレーの二番目の選手は何をしているのかと物議を醸し、ボクシングではリングサイドで熱くなる客を注視。さらに、がに股を余儀なくされる女子スケート選手の心の葛藤を慮る、デリケートかつ不条理なスポーツ無責任観戦! 読んで・笑って・観戦して、三倍楽しい猛毒エッセイ三十四篇。(引用終わり)

11月6日の練習内容 ジョグ10キロ
11月7日の練習内容 完全休養

巻末奥付に、「本作品は・・『モノ・マガジン』に連載された『スポーツ万華鏡』から抜粋・再構成し、改題したもの」とあるが、『延長戦に入りました』と「改題」した趣旨についてはどこにも書かれていない。なるほど表紙にはエポック社の野球盤のオールスター戦がまさに延長戦に入るシーンが描かれているのだが、34篇のエッセイのどれにも延長戦の話は出てこない。

多分、このタイトルは本書全体に流れている、著者の「本質以外に目が向く体質」ということと関係があるのだろう。東京ドームの野球中継を見ながら、ネット裏最前列の通路に座ろうとする観客とこれを制止しようとする案内嬢との遣り取りが気になって仕方ない。レスリングを見ているとタイツが乳首を隠すのか隠さないのかハッキリしろと言いたくなる。果ては、学校の出席順とトップバッターの資質とは関係があるのではないかと考えてしまう。

スポーツのメインの部分ではなく、そこからはみ出た辺縁部にこそ著者の関心は向けられているのだが、それは誰しも思い当たる節があるだろう。スキー・ジャンプ競技のアホネンという選手名を聞いて「あほやねん」を連想しない関西人がいるだろうか。スポーツ新聞的な興味本位主義と言い換えても良いだろう。誤解を恐れずに言えばスポーツとは、観る側にとっては結局は娯楽(パスタイム)なのであり、楽しければどんなことでも楽しめば良いのである。「冗談の通じる人には最良の爆笑本」という著者の言葉にも頷ける。

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