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2006/11/20

『最悪』

Saiaku奥田英朗の7冊目。四六版2段組400頁近い長篇の犯罪小説だが、『邪魔』以上に面白く読めた。版元紹介。

なぜ人は平凡な日常から堕ちていくのか? 犯罪に追いつめられる人間の心理を驚嘆の筆力であますところなく描く1999年の話題作。零細工場主と恐喝(カツアゲ)常習者が「人生の敗け組」という運命に唾を吐いた。とてつもない新人が放つ比類なき犯罪小説

その町には幸と不幸の見えない境界線がひかれている。事業拡大を目論んだ鉄工所主・川谷を襲うウラ目ウラ目の不幸の連続。町のチンピラの和也が乗りこんだのは、終わりのない落ちるばかりのジェットコースター。「損する側のままで終わりたくない!」 追いつめられた男たちが出遭い、1本の導火線に火が点いた。(引用終わり)

少々ネタバレ注意。

11月19日の練習内容 LSD20キロ
11月20日の練習内容 完全休養

鉄工所経営者の川谷信次郎、チンピラの野村和也、そして上記紹介文にはなぜか出てこないが銀行員藤崎みどり。前半は互いに何の繋がりもなかったこれら3人の主要登場人物が、それぞれに不幸な出来事に巻き込まれ、絶望の渕に落とされていく様子をリアルに描いている。

社会派ドキュメンタリーのような前半に対し、後半ではこの3人の運命が次第に交錯しあいながら悲劇へのマグマを高めていき、ついには和也が犯した銀行強盗に信次郎とみどりも巻き込まれ、必死の逃走劇が始まる。息もつかさぬ展開はスリル満点である。

信次郎に不幸な出来事がこれでもかと起こるあたりは筒井康隆『ウィークエンド・シャッフル』を、また元々無関係だった人間がひとつの犯罪の共犯者になっていくあたりは髙村薫『レディ・ジョーカー』を、それぞれ連想してしまった。だいぶ設定は違うけれど。

「幸と不幸の見えない境界線」である鉄道線路を×点の片方にした構図の表紙も印象的である。

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