ブルックナーの第1稿(続)
先日、偶然ブルックナーの交響曲第4番「ロマンチック」の第1稿を聴く機会があり、通常版との大きな違いに驚くとともに、他のいくつかの交響曲にも第1稿による演奏があると分かり、一体どんなものかと興味津々でいたが、ついに実際にCDを聴く機会を得た。
今回聴いたのはエリアフ・インバル指揮フランクフルト放送響による第3番と第8番である。第8番は普段から通常版の演奏をよく聴いていて馴染みがあるが、第3番は滅多に聴かないので、まず通常版の復習から入る必要があった(笑)。セル=クリーヴランドの古いLPで、なぜか音飛びがしたりしたので集中して聴けなかった(苦笑)。そのせいかどうか、インバルが振った第1稿の方が規模も大きく、立派な音楽に聞こえてならなかった。第2楽章では「タンホイザー」もどきの音型が出てきて、なるほどこの方が「ワグナー・シンフォニー」の名に相応しいと思った。
第4番では「今をときめく美人女優の、少女時代の写真に残る今の面影」と、妙な感想を述べたが、それに比べると第3番は「大物俳優の推輓を得て、鳴り物入りでデビューしたニューフェースの、ちょっと侘しいその後」という感じだろうか。(笑)
第8番は、やはり通常版の方が和声も充実し、構成にも深みがある。冒頭、低弦で提示される主題に掛け合うようなクラリネットの対句が第1稿では欠落していて、いきなりコケてしまいそうになった(笑)。第1楽章のコーダの最後の fff も、やはり「取ってつけた」ような印象は否めない。
ただ一点だけ、ここは第1稿の方がいいと感じたのは、終楽章のコーダの最後の fff の前で、トランペットが付点音符の上昇音型でファンファーレを奏でるところだ。通常版はここも fff で演奏されるが、テンポがよほどうまくコントロールされないと、軽薄な空騒ぎみたいになってしまう。
昔、朝比奈=大阪フィルの実演を聴いたときも、当時の大フィルの技量ではカバーできず、そこだけ聴くと吹き出しかねないような代物だった。一方、チェリビダッケぐらいのスローテンポだと重量感たっぷりだが、全曲その調子なので最後まで聴き進むには相当体力が要る。2、3年前だったか、実演で聴いたスクロヴァチェフスキーはさすがに上手いものだったが。
ところが、第1稿では何とここが急に pp になっているのだ。ライナーノートの金子建志氏の解説によれば「遠景を俯瞰するかのごとく」とあるが、なかなかに心憎いデュナーミクなのである。これだと変な力みが入らず、また最後の fff も生きる。断然この方が良い。
8月23日の練習内容 午前 ミドルペース~AT走 20キロ
午後 ジョグ10キロ
8月24日の練習内容 ビルドアップ15キロ
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