『父の威厳 数学者の意地』
新潮文庫『夏彦の写真コラム』傑作選〔1〕の編集・解説を担当した藤原正彦氏のエッセイ集。最近、『国家の品格』がベストセラーだそうだが、ここは敢えて避け、少し前の本から入ってみた。ブログにコメントいただいたNさんから、藤原氏が餃子狂いと聞いていて、それに関する1篇が入っていたということもある。(笑)
一読、とても面白かった。数学者というのはどういう人種なのか想像もつかないが、父親として、あるいは夫としての日常は、我々とそれほど変わるところはないだろう。多少頑固というか、変わったところはあるが、何そんなのは誰にだってあることだ。それを変に隠し立てせず、正々堂々と、また軽妙なタッチで語る、その語り口に引き込まれた。時にニヤリとし、時に深い共感を覚える。例えば次のような一文である。
人間の最も深い情緒のほとんどは、一定時間の後に必ず死が訪れることと関わっている。人類に無限の生命が保証されれば、ほぼ全ての不幸、悲哀、孤独、失意などは消失するだろう。喜び、幸せなどはそれらの裏返しに過ぎないから、もはや鋭く感じられることもあるまい。人を愛することも、美しいものに感動することもあるまい。人間の情緒の源泉は死と思う。(「年寄りの情緒力」より)
「年寄りになると涙腺がゆるむ」というのは、そういうことなのだ。
8月11日の練習内容 ジョグ15キロ
8月12日の練習内容 午前 ミドルペース~AT走20キロ
午後 ジョグ10キロ
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