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2006/07/15

『夏彦の写真コラム』

山本夏彦(1915-2002)著。版元紹介は以下のとおり。

週刊新潮に23年間連載された名物コラムの極上のエッセンス。可哀想な美空ひばり/恐るべきは正義である/教育の普及は浮薄の普及/人生は些事から成る/サラ金と銀行は一味である……世の中の偽善とエゴを見抜き、たったひとことでひとの言わないことを言う。前半12年間のコラムから、著者より「時代遅れの日本男児」と命名された、年下の友人で数学者の藤原正彦氏が100編を選んだ。(第1巻)
「夏彦の写真コラム」に女性ファンが多かったのは、知る人ぞ知る。笠智衆だいっきらい/女に参政権はいらない/昔めかけというものがいた/たれか素人を知らないか…オンナの本質を見抜いた寸鉄の一撃に、怒るどころか溜飲を下げていたのも実はオンナたちだった! 著者が「出会ってたちまち気に入った」という阿川さん。彼女が「愛に報いるべく」後半12年間のコラムから選んだ傑作100編。(第2巻)

大正生まれの筆者による「辛口コラム」と俗に言われるが、そう一筋縄にはいかない。私も相当な偏屈者であると自負(?)するが、山本氏の足元にも及ばない。阿川佐和子女史が解説にこう記している。初めて山本氏にインタビューした時の様子である。

「・・・褒めておいでなのでお好きなのかと思いきや、それは痛烈な皮肉であり、笑顔で語られるから楽しい話かと思えば、腹立たしい思い出だったり、『憤慨なさることだらけですね』と伺うと、『何にも腹は立たないの』と涼しくお答えになる」

そんな山本氏の「コラム」(あえて「エッセイ」という言葉は使わないのだ)は、一見何気ないようにサラサラと書かれていて、その実、とても深いの内容の文章が多い。同じく解説の藤原正彦氏が言う。

「・・・夏彦さんの文章は時に難解である。ほめているのかけなしているのか、怒っているのか笑っているのか悲しんでいるのか、本気か冗談か、分かりにくいことがある」

その「難解」な文章の中でも、次のくだりには思わず唸ってしまった。

「この世は生きるに値しないところだと私は子供心に天啓に打たれたから以後人間の見物人になったのである」「『死ぬの大好き』と私はまっさきに言った。現在只今この場に於て死ねるものなら死にたい」「私は飯を食うのも死ぬまでのヒマつぶしだと思っている。こんなものを書くのも死ぬまでの---いや失礼、以下略」 (「死ぬの大好き」より)

さらに何冊か借りてきて読んでいるところだ。

7月14日の練習内容 ジョグ10キロ
7月15日の練習内容 LSD20キロ

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コメント

まこてぃんさん、お久しぶりです。

山本夏彦氏の「写真コラム」、昨年に新潮文庫で発売されると、すぐに買って読みました。今でも本棚の一番いいところに鎮座しています。

ところで藤原正彦氏、こちらも高校時代から著作を愛読しています。当代一のエッセイストだと思います。
ちなみに、この藤原氏、餃子狂いで有名です(笑)

投稿: ながい | 2006/07/15 22:48

ながいさん
こちらこそ、お久しぶりです。
ブログをやっていて面白いのは、
意外な人から意外な記事にコメントを
いただけることですね。
ながいさんと「週刊新潮」・・・
やっぱり意外な組み合わせだなあ(笑)。

それはともかく、座右に置いて
時に触れて読み返してみる度に
新しい発見がある。
そんな本なのでしょうね。

藤原正彦氏の本も最近の
ベストセラーですね。
近いうちに読んでみたいです。
きっと嗜好が近いのではないかと(笑)。

投稿: まこてぃん | 2006/07/17 09:43

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