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2006/06/21

DVD「フラット走法を始めよう」

今月の雑誌『ランナーズ』の付録というか広告の一部に、「フラット走法を始めよう」というDVDが付いていたので見てみた。これから見るつもりの人は、以下はまだ読まないことをお勧めする。

6月21日の練習内容 ジョグ10キロ

結論から言うと、このDVDの内容はあながち間違いとは言えないが、誤解を与える恐れがある。

曰く、「足底全体で着地するフラット走法は、踵から着地して地面を蹴って進む従来のピストン走法に比べ、上下動の少ない効率的なフォームであり、これをマスターすれば、ラクに長い距離をケガなく走れるようになる」。

現象面だけを捉えれば確かにそうなのだが、フラットに着地しさえすれば効率的に走れるのかというと必ずしもそうではない。そこに落とし穴があり、誤解を与えかねないのだ。本当は順序が逆であって、「効率的なフォームでは着地はフラットになる(あるいはフラットに限りなく近づく)」と言うべきなのである。効率的なフォームで走れるようになれば、その結果として、フラットな着地、骨盤前傾、腰高、正しい重心位置、上下動の少なさなどの特徴が同時に実現されるのであって、これらの特徴を1つ1つ個別に習得しようとすることにさしたる意味はない。

では、効率的なフォームとは何かと言えば、私自身この1年以上取り組んでいる「地面からの反発力で走る」ということに尽きる。金哲彦先生の言葉を借りるなら、「腕振りによる上半身のリズミカルな動きが体幹部の力を生み出し、これが腸腰筋を使った骨盤のダイナミックな動きによって脚部に伝わることで、着地時の衝撃を瞬間的に推進力に変換する」ということになる。

「走る」という運動のこうしたメカニズムが、このDVDでは欠落してしまっていて、解説と練習メニュー(「ミッション」とは大袈裟だ)が脚の動きという局所だけに終始しているのだ。フラット走法対応とかいう新商品のシューズを売りたいがためのDVDだから、話をそういう方向に持っていきたいのは分からないでもない。

しかし、このDVDを見るだけでは、上記のような上半身下半身が一体となった動きは理解できず、そのような状態で脚の動きと着地の仕方だけで「フラット走法」をマスターしようとすればどういうことになるか。足底全体で「蹴る」ような動きを一生懸命練習することになりかねず、そのような中途半端なフォームでは逆にケガをする危険性が大きくなるように思うのである。

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