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2006/05/19

『白夜行』

『容疑者χの献身』で第134回直木賞を受賞した東野圭吾の長篇ミステリー。ラン仲間のKさんから薦められ、お借りして読んでみた。集英社文庫全1冊で860頁もあり、通勤の往復で読むには非常に嵩張ったが、あえて分冊にしなかった理由は読んでいるうちに分かった。

既にTVドラマ化され、今年初めにTBS系で放映されていたらしいが、TVはニュースとマラソン中継以外ほとんど見ない人間なので全く知らなかった。版元紹介は大長篇の割には何ともそっけない(笑)。

19年前の大阪の質屋殺し。迷宮入りしたこの事件に関係した少年と少女が歩んだ道は…。絶望の白い光の中、魂の荒野を行く男と女を、叙事詩的スケールで描く傑作ミステリー長篇。 (解説・馳 星周)

以下、ネタバレはないハズ(笑)。

5月18日の練習内容 ジョグ10キロ
5月19日の練習内容 ビルドアップ15キロ

全ての発端となったのは大阪・布施で1973年に起きた質屋殺し事件。物語の主人公は被害者の息子亮司と、被害者と最後に会った女の娘雪穂。当時小学生だった2人のその後の人生において、彼らに関わる人物が次々と奇怪な事件に巻き込まれていく様子を、さながら大河ドラマのように描ききった力作である。

かなり早い段階から、次々に起きる怪事件の背後に2人の繋がりが存在することが暗示されるが、解説の馳氏も言っているとおり、本書では最後まで主人公たる彼らの側から語らせることなく、彼らの内面の心理描写は全くない。ただ周囲の人間が見聞きした彼らの言動によってしか窺い知ることができない。しかし、それによってかえって彼らの底知れぬ秘密と悲劇が陰画のように浮かび上がる仕掛けになっているのだ。

迷宮入りしていた質屋殺し事件の驚愕の真相が最後に明かされるとき、19年にも及ぶ物語の全ての謎が一気に解けるカタルシスと同時に、哀切というか虚無感というか、何とも形容しがたい読後感が襲ってくる。

折々の世相や流行の描写も(「おお、懐かしい」と何度独り言ちたことか・笑)、単にその時代の背景説明というだけではなく、ストーリーに絡んでくるところが巧みだし、ナチュラルな大阪弁の会話や、コンピューター犯罪の詳細な描写は、大阪生まれで電気工学科出身の著者ならではだろう。

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コメント

「白夜行」購入の動機は、分厚くて
しばらく通勤で楽しめそうだと思ったからですが、
今は東野圭吾氏の作品を読み漁ろうと思っています。

嫁がテレビ放映を全部録画していて、読書後に見たのですが
いきなり質屋殺しのネタバレと2人の出会い、会話から始まり
興味がうせてしまい2回以降は見ていません。

投稿: けんあん | 2006/05/20 23:39

Kさん(笑)、どうもありがとうございました。
TVドラマ版は近々DVDボックスセットが
発売されるようですが、あまり評判は良くないですね。
冒頭でいきなりネタバレさせてしまうというのは、
浮気な視聴者を繋ぎとめておくための、
TV特有の手段なのでしょうが、
原作の味わいが台無しになってしまいそうですね。

投稿: まこてぃん | 2006/05/21 13:48

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