『ゼロの焦点』
言わずと知れた松本清張の代表作のひとつ。最近、『砂の器』『黒革の手帳』『けものみち』と立て続けにTVドラマになったり、宮部みゆきが彼の短篇集を編集したりして、ちょっとしたリバイバルブーム(?)の松本清張作品をふと読んでみたくなった。版元紹介はちょっとネタバレしている(笑)。
夫には、妻も知らない、もう一つの名があった──。 戦争の傷がまだ塞がっていない頃の物語。清張ミステリーの最高傑作!
前任地での仕事の引継ぎに行って来るといったまま新婚一週間で失踪した夫、鵜原憲一のゆくえを求めて北陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子。ようやく手がかりを掴んだ時、“自殺”として処理されていた夫の姓は曽根であった! 夫の陰の生活がわかるにつれ関係者がつぎつぎに殺されてゆく。戦争直後の混乱が尾を引いて生じた悲劇を描いて、名作『点と線』と並び称される著者の代表作。
以下、完全にネタバレ(笑)。
1月28日の練習内容 10キロペースラン(39分22秒)を含む20キロ
作品の設定は昭和33年12月。私がまだ生後1か月の赤ん坊だった頃だ(笑)。冒頭でヒロイン禎子がロクな交際もせず見合い結婚してしまうところとか、その相手の憲一が直前まで同棲していた相手がかつて進駐軍相手の「パンパン」だったとか、いかにも時代を感じさせる。
新婚早々、前任地金沢に行ったまま謎の失踪を遂げた憲一を尋ね歩くうち、禎子は関係者の自殺、他殺事件に次々と遭遇していく。一旦は犯人が判明したかに思われたが、最後の「ゼロの焦点」の章で大きなドンデン返しが待っているという寸法である。
しかし、佐知子が提案したという憲一の偽装自殺について、いくら遺書を整え靴を揃えたところで、実際に死体が上がらなければ怪しまれるだけであり、なぜ憲一は唯々諾々と従って断崖の上に立ったのか。また、自分の過去を知る憲一を他人に見せかけて抹殺することに成功した佐知子が、その後、宗太郎、本多、久子と続けて殺さなければならなかった動機は今ひとつ明確でない。
というわけで、やや消化不良の感じだが、これってもしかして私の理解不足?
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