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2005/10/20

『マークスの山』

髙村薫著。直木賞受賞作。文庫化に当たり全面改稿されている。『レディ・ジョーカー』で活躍した合田刑事は、義兄の加納検事とともに、この作品で初登場。例によって版元紹介。

「俺は今日からマークスだ! マークス!いい名前だろう!」――精神に〈暗い山〉を抱える殺人者マークス。南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。被害者たちにつながりはあるのか? 姿なき殺人犯を警視庁捜査第1課第7係の合田雄一郎刑事が追う。直木賞受賞作品。(上)

殺人犯を特定できない警察をあざ笑うかのように、次々と人を殺し続けるマークス。捜査情報を共有できない刑事たちが苛立つ一方、事件は地検にも及ぶ。事件を解くカギは、マークスが握る秘密にあった。凶暴で狡知に長ける殺人鬼にたどり着いた合田刑事が見たものは……。リアルな筆致で描く警察小説の最高峰。(下)

以下、少々ネタバレあり。

10月19日の練習内容 インターバル1キロ(時速15.5キロ前後)×6本を含む13キロ
10月20日の練習内容 ジョグ10キロ

『レディ・ジョーカー』では、テーマとなったビール会社脅迫事件の発端は初めから明らかにされており、それぞれの当事者の立場から同時進行の形で事件の全体像を描いた社会派ドキュメンタリーの要素が強いのに対し、本作では、マークスが脅迫のネタにした「秘密」は最後までその全貌が明かされず、より本格派ミステリーの要素が強いと言える。

警察上層部や検察からの圧力に屈することなく、16年前の南アルプスでの出来事に端を発する一連の事件の真相に辿り着く、合田ら現場警察官の必死の捜査ぶりは読み応え十分で、版元が「警察小説の最高峰」と謳ったのも頷ける。特に林原弁護士との息詰まる対決から、浅野の遺書発見、そして北岳のラストシーンへと、一気呵成に突き進むところは見事だ。

ただ、「マークス」こと水沢が「秘密」を入手した経緯はやや不自然である上に、その秘密の核心である16年前の事件で冤罪をかぶせられた岩田に、水沢がその後偶然に刑務所で出会ったという設定には、少し無理があるように感じた。

事件の全容が分かった上で、そのうちもう一度初めから読み返してみたいが、幸い本作も既に映画化されているので、近いうちにDVDを借りてきて復習してみよう。

それにしても、どんなエライ人なのか知らないが、「文芸評論家」なる御仁の書いた文庫本の巻末解説はあまりにもひどい。純文学や本格小説に比べてミステリーは一段低い大衆娯楽小説だと言わんばかりだし、ほとんどが本作をダシにした自分の自慢話というのは頂けない。まあ、文庫本の解説でまともなのはあまり見たことがないが・・・。

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