『敵』
筒井康隆著。彼の作品は高校時代以来ずっと愛読してきたが、最近は断筆事件もあって、読むのは久々である。例によって版元紹介から。
渡辺儀助、75歳。大学教授の職を辞し10年。愛妻にも先立たれ、余生を勘定しつつ、ひとり悠々自適の生活を営んでいる。料理にこだわり、晩酌を楽しみ、ときには酒場にも足を運ぶ。ある日、パソコン通信の画面にメッセージが流れる。「敵です。皆が逃げはじめています――」。「敵」とは何者か。いつ、どのようにしてやってくるのか……。意識の深層を残酷なまでに描写する傑作長編小説。
自らの信条から、生活保護や医療介護など他の厄介になることは断固として拒否し、預貯金の許す範囲でそれまでの豊かな生活を続ける儀助の生き方には共感を覚えた。身辺の日用品をすべて使い切り、銀行預金が見事になくなり、冷蔵庫が空になった時にぴったり死ぬ。果たしてそんなことができるだろうか。最後(最期?)に近づくにつれ、20年も前に死んだ妻や知人たちとの想像上の会話に耽っていく儀助の生き様には悲壮感すら漂う。
9月23日の練習内容 ジョグ10キロ(左脚がまだ少し痛む)
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