何のために走るのか
「あなたはなぜ、何のために走るのですか?」
そう訊かれれば、ランナーの約7割は「健康(減量)のため」、約3割は「美味いビールを飲むため」と答えるだろう(笑)。しかし、この質問に大真面目に答えるのはなかなか難しい。
健康のため毎朝近所を30分ほどジョギングしているという程度ならともかく、フルマラソンの大会に毎年出場して、自己ベスト更新を目指すべく日夜練習を重ねているという部類のランナーにとっては、「なぜ、何のために走るのか」という問いは、結構重いものがある。自己ベストの達成感というだけでは説明がつかない、もっと根源的なものがあるような気がするのである。
8月31日の練習内容 ジョグ10キロ(月間走行距離 519キロ)
昨日の朝日新聞朝刊スポーツ面のコラム「EYE」に、京大アメフット部・水野弥一監督の話として、次のようなことが書かれていた。
人間はなぜスポーツをするのか、という根源的な問いに、彼(水野監督)は即答した。「知的好奇心です。新しい世界を知るということがスポーツのだいご味。うまくなった時のことは、なってみなきゃわからない。自分の知らない自分を発見することで、人生観、世界観が変わる。それを追求する姿勢が知性です」(引用終わり)
確かに自分自身、マラソンを始めてから「新しい世界」を知った。およそスポーツとは縁がなかったのが、97年に初めてハーフマラソンを完走して以来、フル完走、サブスリー達成、ウルトラ100キロ完走、海外遠征と、今まで考えもしなかったことを次々に成し遂げている「自分の知らなかった自分」を発見して驚いている。40代半ばにもなって、汗や涙、挑戦、感動といった言葉が、ごく身近なものとしてある。人生観、世界観はまさにガラリと変わった。
「新しい自分を発見するため」。その好奇心を「知的」と言ってよいかどうかは分からないが、冒頭の問いに対するひとつの回答がそこにあることは間違いない。
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