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2005/07/07

『氷舞』

「こおりまい」。『新宿鮫』シリーズ第6弾である。図書館の書棚になかったので貸出し中と思い、第7弾『灰夜』の方を先に読んだのだが、よくよく調べてみるとシリーズ全8冊でなぜかこの本だけが閉架書庫にあったのだ。実はこの本にはシリーズ全体に通じる重要な手がかりが書かれていて・・・なわけはない(笑)。本当のところはよく分からない。それはともかく、まずは版元紹介。

西新宿のホテルで元CIAアメリカ人が殺された。事件の鍵を握る平出組の前岡に迫る鮫島。しかし、なぜか公安警察が立ちはだかった。その背後には元公安秘密刑事・立花の影が。捜査の過程で鮫島は、美しく孤独な女・杉田江見里と出逢い、惹かれていく…。江見里と事件の関わりが浮上するなか、鮫島は“核心”に挑む。 興奮と感動の傑作シリーズ第6弾。

これでも少しネタバレしているが、今回も以下、大バレ(笑)。

鮫島が晶以外に初めて恋した女(単に浮気というには重すぎる)杉田江見里は、実母と養父の死亡の真相を知り、その復讐のため元CIAのブライドを射殺、さらに立花やその背後にいる公安出身の政治家・京山を狙っていた。20年以上も前のスキャンダルが暴かれるのを恐れた公安一家は、秘密捜査を強行するとともに、事件の核心に近づく鮫島の動きを執拗に妨害する。鮫島は宿敵ともいうべき同期の香田と奇妙な共闘関係を築き、ついに立花の潜伏先をつきとめたが、そこに江見里が現れ・・・・。

事件は解決しても鮫島の心には大きな痛手が残った。恋人・晶への裏切り。その相手の江見里が殺人犯だったこと。さらには彼女に捜査上の機密を洩らしてしまったことだ。しかし、これによって逆に鮫島の人間くささというかリアリティが加わり、一層魅力を増したように感じられた。それから、全体のストーリー上さほど重要なエピソードとは思えないが、相当な頁数を費やして描かれた増添との対決シーンは、手に汗握る迫力があった。ここだけでも映画で見てみたいものだ。

さて、続いていよいよ最終巻の大長編『風化水脈』を読み始めた。「風化」という言葉から大体想像がつくが、第1弾以来何度も言及されながら、未だその全容が明かされていない「公安内部の暗闘」「自殺した宮本の遺書」の全容が明らかになるものと思われる。楽しみではあるが、一方、このシリーズがついに大団円を迎えてしまうのが惜しくもある。

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コメント

あ、読み終わる前に期待を裏切っていいものかどうか…。『風化水脈』では、ほとんど何も明らかになりません。つまり、シリーズは尻切れトンボで中断しているのです(^^;)。

もともと『新宿鮫』は光文社のカッパノベルスから刊行されていましたが、『氷舞』が出たところで、毎日新聞の夕刊に『風化水脈』が連載されたんですね。連載終了後、すぐに新聞社から単行本が出ましたが、そのためかノベスル化はしばらくなく、その間に『灰夜』が出ました。ですから、シリーズの中では『灰夜』が先ということになっていますが、実際に発表されたのは『風化水脈』が先です。

また、新聞小説という性格上、『風化水脈』は少しだけ毛色が変わっているように思います。シリーズの続きと言うよりも、連続ドラマの特別版2時間スペシャルという感じ。でも「新宿」という土地の歴史をしっかり描いている点で、もっとも『新宿鮫』らしいと言えるかもしれません。チャンチャン。

投稿: meka | 2005/07/07 23:10

mekaさん
いつもコメントありがとうございます。
なるほど、「言わぬが花」ということでしょうか。
その方が余韻が残るし、もしかしたら続編も・・・。

新聞連載ということで新規の読者を意識したのか、
描写や説明が丁寧というか、いわば楷書体で書かれた感じで、
それまでの文体に慣れた目にはちょっと新鮮ですね。


投稿: まこてぃん | 2005/07/08 10:37

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