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2005/07/15

『風化水脈』

『新宿鮫』第8作。現在出版されているシリーズ最後の作品である。版元紹介文は今回のものが一番分かりやすい。

新宿署の刑事・鮫島は新宿で真壁と出会った。かつて殺人傷害事件で鮫島に自首した藤野組組員。出所したての真壁は待っていた女・雪絵と暮していた。だが真壁が命がけで殺そうとした男・王は、藤野組と組む中国人組織のボスとなっていた。やくざの生き方にこだわる爆発寸前の真壁と、幸せを希う雪絵。一方、高級車窃盗団を追う鮫島は、張り込み先で老人・大江と知り合う。街の片隅で孤独に生きる大江に秘密の匂いを嗅ぐ鮫島。捜査を続ける鮫島は、事件と藤野組の関わりを掴む。さらに潜入した古家で意外な発見を――。すべての糸はやがて一点で凝集する。過去に縛られた様々な思いが、街を流れる時の中で交錯する。心打つ、感動の第八作。

今回はそれほどネタバレはない。

7月15日の練習内容 ジョグ10キロ

ほとんど上の紹介文のとおりなのだが、新聞連載という形で発表されたためか、今までの作品に比べると構成がすっきりしており、説明も丁寧だ。反面、人物の相関関係とかも大体途中で想像がついてしまい、大きなドンデン返しもない。

この作品でも主要登場人物が全て「生きて」描かれている。とりわけ、鮫島が最初は犯人グループとの関与を疑った大江老人と次第に心が通じ合い、ついには彼が一生かけて隠してきた過去の秘密を明かしてもらうまでに至る経過は、人間ドラマとしても読ませる。

鮫島は、「まっとうな」(というのも変だが)やくざの生き方にこだわる真壁と、敵味方の立場を超えてお互いを理解している。ラストシーンで、鮫島は中国マフィアに命を狙われる真壁を助ける。このあたりは、掟を守る「真の」盗賊の生き方に理解を示した長谷川平蔵(鬼平犯科帳)との類似を、第1巻に続いて感じた。

ところで、この『新宿鮫』シリーズの第9作『狼花』(おおかみばな)が、小説宝石の本年1月号から連載中とのことである。出版されたらすぐ図書館に予約を入れよう。

それまでのつなぎというわけではないが、同じ作者の別のシリーズを借りてきた。

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コメント

まこてぃんさん、こんにちは。

おお、続編の連載をしていたのですね。最近、むかしのようにシリーズものを追いかける意欲が薄れていて、気がつきませんでした。図書館に『宝石』のバックナンバーを読みに行こうか…。

投稿: meka | 2005/07/16 09:26

mekaさん、こんにちは。
続編のこと、ご存じなかったですか。
私も「大極宮」のホームページで知りました。
月刊の小説雑誌までチェックしませんものね。

そうか、その雑誌を借りて読むという手がありましたね。
でも、通勤にはちょっと嵩張るかなあ。

投稿: まこてぃん | 2005/07/16 16:37

まこてぃんさん、こんにちは。

宮部みゆきの『初ものがたり』も中途半端なままなので、以前は、『大極宮』をときどきチェックしていました。でも、何年も進展がなかったので、最近はとんとご無沙汰です。変わりに、アメリカのコージーミステリなんぞにはまっていますし。

雑誌は、たいていの図書館では、貸し出しはしていないのじゃないでしょうか。図書館まで、往復ランのついでに1号分ずつ読むとか。

投稿: meka | 2005/07/17 20:44

mekaさん、こんにちは。
そうでした。うちの市の図書館も雑誌は貸りられないのでした。
私の読書は専ら通勤電車の中で、
図書館でゆったり読書する時間はできそうにありません。

ランニングのついでにレンタルDVDを返却しに行ったことはありますが(笑)。

投稿: まこてぃん | 2005/07/18 17:56

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