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2005/06/03

『新宿鮫』

大沢在昌著『新宿鮫』を読了。言わずと知れたハードボイルドの人気シリーズ第1作で、以前から読んでみたかったのだが、ようやく図書館で借りることができた。大勢の手垢にまみれたためにお札のような匂いのする、まことにありがたい本だった。(笑)

大体の内容は以下の文庫版紹介のとおりである。(またズボラ・笑)

「新宿鮫」と怖れられる新宿署刑事・鮫島。歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺された。犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津を執拗に追う。待ち受ける巧妙な、罠! 絶体絶命の鮫島……。登場人物の圧倒的な個性と最後まで息をつかせぬ緊迫感! 超人気シリーズの輝ける第1作、ついに登場!

やはり評判どおり面白かった。何より登場人物の設定がいい。
以下ネタバレ注意

キャリア(上級公務員)でありながら、ある事情から警察組織内で居場所を失い、一匹狼となった鮫島警部が、刑事課ではなく防犯課に配属されながら、時に署の方針に逆らって遊軍のように活躍するという設定がまず面白い。突拍子もない連想かもしれないが、ご存じ「鬼平」こと長谷川平蔵が奉行所から独立した火付盗賊改方の長官として縦横無尽に活躍するという『鬼平犯科帳』に似ていると思った。そういえば、木津のアパートや銃工房がある辺りは『犯科帳』でもよく登場する場所だし、張り込みや尾行の様子、船でないと辿り着けない工房に踏み込むところなど、『犯科帳』を彷彿させるようで面白かった。

鮫島の恋人でロックシンガーの晶(しょう)は、口は悪いが鮫島の気持ちを誰よりも理解していて、心底惚れ抜いている。おまけにプロポーション抜群という、この上なく魅力的なキャラクターだ。犯罪の摘発と晶との恋愛が、鮫島の生きがいなのだ。

また、同じ警部ながら上司にあたる防犯課長の桃井は、事故で息子を失って以来感情を失ったようになり、署内では「マンジュウ」(死人)と呼ばれているが、実は鮫島の良き理解者である。木津の工房で逆襲を受け絶体絶命の鮫島を救って木津を射殺、小説の最後の1行で鮫島をして「新宿署で、最高のお巡りだ」と言わしめる。この結末には思わず唸ってしまった。

蛇足ながら、この本の初版は1990年。携帯電話は当時まだ本格的に普及しておらず、鮫島が緊急の連絡を入れるために公衆電話に飛びつくシーンもあって、時代の移り変わりを感じさせる。それより、当時の携帯電話は肩から提げた弁当箱のような本体に受話器を繋いで通話していたことなど、もう今の若い人は知らないだろうし、最後のライブハウスでの対決シーンはいまいちピンとこないのではないか。

人気作だけに既に映画化されているので、例によって近いうちにビデオを借りて観てみよう。鮫島は真田広之、晶は田中美奈子とのことだが、さて・・・。

6月3日の練習内容 休養(職場の歓送迎会のため)

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コメント

私はこれ、NHKのドラマで見ました。何年か前に期間をおいて何作か放送されてたと思います。鮫島役は舘ひろしで、鮫島と対極にあるキャリアの役が永島敏行でした。ちょっとNHKらしからぬ雰囲気のドラマでした。面白かったです。

投稿: NAOJI | 2005/06/04 06:23

NAOJIさん、こんばんは。
NHKでもやってたんですね。

ちょっと調べてみたら、舘ひろしは4本ほど主演してますね。まあ適役かなぁ。
晶役は、本上まなみ、黒木瞳、久松史奈、島谷ひとみ、と毎回変わっています。
まだ観てないので何とも言えませんが、
私的には全盛期の風吹ジュンしか考えられません。

投稿: まこてぃん | 2005/06/04 21:45

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