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2005/05/30

『沈まぬ太陽』

山崎豊子著『沈まぬ太陽』を読了。アフリカ篇、御巣鷹山篇、会長室篇の3部計5冊からなる大長編だが、この作家らしい平易な表現と明快なストーリー展開でグイグイ読ませる。「白い巨塔」「不毛地帯」などと同様、徹底した取材に基づいて巨大組織の知られざる内幕をリアルに描いている。私見だが、山崎豊子は日本のアーサー・ヘイリーではないかと思っている。

さて、この作品が第一級のルポルタージュであることは確かだが、文学的価値はどうかと言えば少し疑問が残る。特に、国民航空の経営改革に乗り出した国見会長と社内守旧派の対立を描いた会長室篇では、登場人物のキャラクターがあまりにもステレオタイプに感じられたし、登場人物のセリフの後に「あくまでさり気なく答えた」「ことさら問題にするように云うと」などといちいち解説がついているのは、分かりやすいが少し辟易させられた。

全巻中ではやはり第3巻の御巣鷹山篇が秀逸だ。わが国航空史上最悪の事故発生の経緯から捜索の過程、遺体の収容、残された遺族の心情と生活の激変ぶりなどが克明に描かれている。抑制された文章で事実のみを淡々と述べていくというスタイルだが、かえって事故の重大さと遺族の悲しみの大きさがひしひしと伝わってくる。愛する家族を一瞬にして失った遺族の憤りと悲しみは、20年後の今回のJR尼崎脱線事故と二重写しになって胸に迫った。

5月30日の練習内容 ジョグ10キロ

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